分譲マンションの相続税評価額の計算方法が変わりました
- 税理士 稲次啓介

- 11月17日
- 読了時間: 2分
<概要>
これまでタワーマンションなどの分譲マンションを購入すると、実勢価格と相続税評価額に大きな乖離が発生し相続税の大幅な節税につながっていました。これに対応する形で令和5年10月国税庁より改定通達が公表され、令和6年1月1日以降に「居住用の区分所有財産」(いわゆる分譲マンション)を相続、遺贈または贈与により取得した場合、当該分譲マンションの評価額の計算方法が変わることとなりました。なお、自宅として使用していても、賃貸にしていても、居住用として造られていれば対象になります。ただし、一棟所有の賃貸マンション、総階数が2階建て以下の低層集合住宅、棚卸資産に該当するものなどは対象から除かれます。
<これまでの評価方法>
分譲マンションを評価する場合、建物本体(専有部分)と敷地利用権(共有持分)の二つに分けて評価し、それぞれを合算することとなります。
①建物本体の相続税評価額・・・・・固定資産税評価額×1.0
②敷地利用権の相続税評価額・・・・敷地全体の相続税評価額(※)×敷地権の割合
(※ 路線価×地積または固定資産税評価額×倍率)
<改正後の評価方法>
①建物本体の相続税評価額・・・・・固定資産税評価額×1.0×区分所有補正率
②敷地利用権の相続税評価額・・・・敷地全体の相続税評価額×敷地権の割合×区分所有補正率
<区分所有補正率とは>
「評価乖離率」と「評価水準」という数値を用いて計算することとなりますが非常に複雑です。
具体的には国税庁ホームページに掲載されている「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」により簡便に計算することができますのでご参照ください。
ポイントとしては、❶築年数が浅いと補正率が上昇❷総階数が高いと補正率が上昇❸所在している階が高いと補正率が上昇❹部屋の大きさが広いと補正率が上昇することとなります。
<評価額への影響>
都心部のタワーマンションなどでは従来の評価額の2倍近くになるケースも出てきております。都心以外の分譲マンションでも1.2倍~1.5倍の評価額になるケースが多いようです。分譲マンションをお持ちの方で相続税のシミュレーションを行われている方やそれに伴い遺言書を作成している方などは事前に評価替えをして再対応しておく必要があるかもしれません。






コメント