信託財産と注意点
- 司法書士 多良七恵

- 2023年6月13日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年6月14日
このホームページにも説明がありますが、信託とは、信託を設定する人(委託者)が、自分の有する一定の財産を別扱いとして、信頼できる人(受託者)に託して、名義を移転し、この託された人において、その財産を一定の目的に従って管理・活用・処分を行い、その中で信託の利益を享受する人(受益者)に信託財産を利用させあるいは運用益等を給付し、そして最終的には財産そのものを遺したい人(帰属権利者等)に引き渡し給付して、その目的を達成する法制度である、とされています。
今回は、その信託に適していない財産や信託するにあたって気を付けた方が良い財産について、ご紹介したいと思います。
農地 信託に適していない代表的な財産としては、農地が有名です。 信託の登記は所有権移転登記をすることになりますが、農地を農地のまま所有権移転をする場合、農地法第3条の許可が必要です。 信託を原因として農地法第3条の許可を得ようとする場合、受託者は農業協同組合等でないと許可がされません(農地法第3条2項3号)。
年金受給権 当然といえば当然かもしれませんが、年金は受給者本人が受け取るべきものであり、年金受給権は譲渡が禁止されています(国民年金法第24条等)。 そのため、年金受給権は信託の対象とはなりません。
預貯金口座 預貯金債権も譲渡禁止債権であり、そのまま信託財産として取り込むことはできません。 一般的には、預貯金のうち一定の金額を定めて受託者に引渡し、信託財産として信託口口座で管理することになります。
上場株式 株式(自社株式)が信託財産として出てくることは数多いですが、上場株式の場合は要注意です。 なぜなら上場株式は証券会社を通じて保有していることが一般的で、そこが民事信託に対応してくれるかが分からないからです。
担保権付の不動産 例えば抵当権が設定されている不動産の場合、その抵当権設定契約書には、不動産を金融機関の承諾なく処分した場合には、一括で弁済してください等の条項(期限の利益喪失条項)があることが一般的です。 信託により所有権を移転することは、不動産の処分に当たる可能性があります。 担保権が付いた不動産を信託財産とする場合は、事前に金融機関に確認することが重要です。






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